弁護士コラム

理念

蓮舫代表の辞任―漂う民進党のバラバラ感

民進党の蓮舫代表が稲田防衛大臣と同じ日に辞任することを表明した。

 

蓮舫氏の最大の成果は、安倍氏の支持率低下と稲田防衛相を追い詰めたことだろう。また、天皇陛下の退位でも議論を結果としてまとめた。

 

二重国籍問題は「作られた」スキャンダルという印象操作が否めないが、これについても橋本元大阪市長の番組で説明責任を果たした。これらはユーチューブなどでもみられる。

 

しかし「攻める」野党が「責める」野党になっていたことは否めないのではないか。

 

蓮舫氏の「より強い民進党を新たな執行部に率いてもらうのが最善だ」というのは,反対解釈をすると自分の執行部ではこれ以上物事が進まないとの判断もあったと思われる。

 

蓮舫氏には辞任をしなければならない決定的な要素はなかった。だから辞任しなくても良かったと思われるが,「仕事師」の野田前首相が幹事長の退任に追い込まれて,後見人を失いそのまま退任することになったといえそうだ。国民や他党の評判は悪いが野田氏の「仕事師」ぶりはプロからは髙い評価を得ており皇室典範の特例法についても水面下でまとめあげたのは野田氏といわれている。

 

結局、民進党は,何もしないで文句ばかりいっている国会議員の集まりなのではないか。東京都議選でも、「都民ファースト」という逆風に、前原氏や枝野氏であったら対抗できたのだろうか。松原氏は衆院比例復活組で,民進党の名前で当選しながら,文句ばかりだ。結果的にもともと7議席が5議席にとどまり,個人的には「都民ファースト」という突風がふいたのであるし、都議会自民党も大敗を期したのであるから,これを理由に蓮舫氏が辞める理由にならない。

 

また、二重国籍疑惑については,単なるハーフにすぎない蓮舫氏に対する人種差別的な対応が目立ち戸籍謄本を公開するなどその態度は真摯なものであった。読売新聞は蓮舫氏について、高圧的で品位を欠くというが,そのことにつき度重なる「反省」を表明しているのは安倍氏ではないか。

 

民進党は結党の理念がみえない。そして,国民を二分する議論について,まとまりを欠いている。

 

結果,残ったのが「権力闘争」だけだった。

 

民進党はリベラル系に電力会社の労組もあり脱原発を主張するのも難しい。

 

むしろ,謙虚にして驕らず,鳩山氏、管氏、羽田氏、野田氏などの首相経験者をはじめ、小泉氏や細川氏に教えをこうてガバナンスの強化だけではなく、民進党が描く未来は何であるのか。

 

蓮舫代表の辞任を歓迎している民進党議員もいるが,知名度の低い議員ばかりの民進党代表の場合、社民党のような顛末になることも想像できる。

 

蓮舫氏は引責だ、ではなくて、蓮舫氏に民進党は愛想をつかされたのではないか。知名度の高い国民的人気では「一強」の蓮舫氏の足を引っ張り続けた野田グループ以外の罪は重い。特に、安倍氏と同じ保守系の前原氏は笑顔で記者会見に臨んでいたが,興ざめしてしまった。武士の情けのない人間に代表は務まらないだろう。また「メール問題」などの軽いテーマで辞任に追い込まれるのが目に見えている。

 

蓮舫氏も今後、小池氏と行動をともにするなども考えられ,民進党が足を引っ張り続けて政権を失ったことの繰り返しをしている「学ばない組織」の典型のようだ。東京新聞は解党的出直しを迫るが,また前原「民主党」代表では,新鮮さに欠けること明らかである。結果、繰り返してきた保守対リベラルの内ゲバをまた国民は見せられるのであろうか。

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