親権問題

親権問題

こどもにとっての幸せを第一に考え、親権問題に最善の解決策をご提案します。

父母の婚姻中は、未成年者のこどもがいれば、共同親権に服することになります。しかし日本では離婚後は単独親権しか認められていません。
法律では、父も母も指定を受けることになります。こどもがいる家庭では、こどもの願いは両親と行き来ができることですから、「子の利益を中心に据えた」解決を図ることが望ましいといえます。最近では、チルドレン・ファーストとして面会交流として、日本の単独親権を補うため充実した面会交流が支持されるようになっています。

私は6歳のころに父親を亡くしましたが、離婚と死別の違いは会おうと思えば会えるという点です。こどものは両親との同居を望んでいる例が多く、そうした趣旨を活かした面会交流の合意が望ましいといえます。なぜなら、こどもが離婚による親の喪失というつらい出来事からその喪失感を取り戻すことができるからだと思います。喪失感を抱くと落ち着かなくなったり、自信を持たず社会的ひきこもりのようになり勉学にも集中できなかったりという現象を起こします。
当事務所は、離婚後のこどもの養育は、子の最善の利益を実現するために、離婚しても父母がどのように協調し協力して適切にこどもの生活の質(QOL)を上げていくことではないか、と考えています。

身上監護権と財産管理権

こどもがいる夫婦にとっては、親権者を定めることは最も重要な問題です。もっとも争いの激しい問題になってしまうのですが、親権とは、身上監護権と財産管理権で成り立っています。裁判や調停では「親権」と「監護権」が分属することは望ましくないとされていますので、実務上はあまりお目にかかりません。当事務所も調停や審判で、父親に親権を取得させ母親は監護権を取得するといった和解はしたことがありません。
ただし、離婚協議サポートの段階では、親権者は夫に譲り、妻は監護権を取得するということもありますが、この場合は、必ず公正証書を作成して明確にしておきます。
どうして親権と監護権を分けたいのかというと、一つには養育費をきちんと払って欲しいという妻側の希望、二つには親権者であればいざというときに面会交流の不当拒否からの救済が得られやすいという父側の希望が調和して、三つには、争いの激しい問題をソフトに解決することができるからではないか、と思います。

子連れ別居について

一般的には、女性が別居する際、こどもを連れて出ることが多いといわれています。いわゆる「子連れ別居」ですが、夫の同意のないこどもの連れ去りは違法とされる可能性もあります。しかし、現在のところ、少なくとも女性が「主たる監護者」である限り、主たる監護者に服しているこどもを連れて出ることは自然のことだとも考えられています。そして、別居後、こどもが安定してくれれば、子の環境の安定性、主たる監護者であること、監護補助者の存在があれば、特段の事情がない限り女性が親権を取得できることになります。
日本では、話し合いよりも、先行して別居という実力行使がともなっているケースが多いです。しかし、こどもの問題をめぐって、父母間で緊張関係が高まることは、こどもの利益にも反していますから残念なことです。別居中、こどもは慣れない生活を余儀なくされます。心が発達していないこどもは、心理的な負荷を受け止められるキャパシティに乏しく、小児性の痙攣になったり、白髪が出たりしたりなど身体反応に出やすいことが特徴です。別居により、緊張関係が異常に高まりますから、弁護士に依頼して別居中でも面会交流をとるなどの配慮をもち、こどの声を最初に取り上げてあげるのが重要です。

親権者決定の要素

当事者間の協議で親権者が決まらない場合は、最終的には離婚訴訟となります。この点は子の最善の利益の観点から決められますが、現在のこどもの生活環境の安定性、親の監護に関する意欲や能力、心身の状況、こどもに対する愛情、監護補助者の有無、こどもの意向が要素になっています。もっとも、現実には、監護に安定感があるか、主たる監護者による監護が適切に行われているか、という2つの軸に、こどもの意向や親の熱意といった修正要素で判断されているように思います。
統計的には、乳幼児に関しては幼児母子優先の原則があり、10歳くらいまでは母親と指定される傾向が強く、15歳以上はこどもの意向で決められ20歳に近づくほど父親が指定されるケースが多くなっているように思います。私たちが担当している案件でも10歳以上の場合は、「子の意向」「子の心情調査」としてこどもの意見を聴いているようです。

性別による有利・不利

女性の親権

よく精神的支配を受けている女性に顕著なのが、経済力がないから母親は親権者になれないという思い込みです。しかし、婚姻費用分担や養育費の支払いを受けられれば、パート労働程度の経済力でもあまり重要な要素とはなりません。また、離婚後は所得が低ければ公的扶助などで補うこともできます。そうなのに、別居前からアルバイトをしてこどもの監護を疎かにして、こどもとの情緒的な結びつきを弱めてしまい精神を害している間に、夫がこどもを連れて実家に帰ってしまうという例もたくさん見てきました。

男性の親権

近年は、夫が親権を強く主張する傾向が強まったといわれていますが、今も昔も小学校3年生くらいまでのこどもはとてもかわいいですから、どちらも育てたいというのは、むしろ親として自然な情愛ではないかなと考えます。かつては、男性は離婚したら「こどもは他人と思え」という時期がありました。しかし現代は、男性も子育てに関与し女性の社会進出に伴い女性の主たる監護者としての役割が低下した時代です。ともに子育ての実績を持っているケースや年齢にもよるケースがあり、性別だけでは判断できないことも多くなってきています。

こどもの意思

かつては、こどもを親権者の選定から排除して、こどもを被害者とすることで片方の親を捨てたことに対する罪障感を持たせないようにした時期もありました。しかし、現在は、かえって、こどもに情報を与え、発言の機会を与え、その内容を考慮して決めることが妥当であるとの考え方が広がってきているように思います。

兄弟姉妹がいる場合の親権

兄弟がいる場合には、特に幼児期は兄弟が一緒に暮らすことが人格形成に良い影響を与えることがあるのも事実ですが、特に仲の良い兄弟姉妹でなければ兄弟不分離にこだわる必要はないのではないか、というのが私の個人的な見解です。事実、兄は父を、妹は母を自らの意志で選び、分属することとなったケースなどもたくさん見てきました。
この点、裁判所は幼児期に限らず、少年期のこどもたちにも兄弟不分離の原則を強調するため、心理学的裏付けもなく一般的社会通念とも矛盾することから家裁裁判所は「結論ありき」なのではないか、と評判を落としている原因となっています。

こどもの連れ去り・取り戻しについて

別居中にこどもが連れ去られるというケースがあります。裁判例で現れるのは保育園や小学校のこどもが連れ去られたケースです。この点、大学生に議論をさせたことがありましたが、どうして女性の子連れ別居は適法で、男性の取戻しは逮捕までいくほど顕著な違法といわれなければならないのか、という疑問が大勢を占めていました。こうした学生が法曹になれば変わっていくのかもしれませんが、いったん平穏な監護を確立した以上、その連れ去りは態様によっては犯罪になります。この場合は、弁護士にすぐに依頼して、子の監護者指定・引渡し・審判前の保全処分を行うことが、現在の実務では良いといわれております。当事務所も10件程度の事件を担当し、この手の事件を担当する事務所としては、リーディングキャリアとしての地位にあります。
また、警察に告訴する方法もありますが、家庭裁判所はあまり警察を使うのを好みません。ですから、やむにやまれぬ時にのみ、警察に通報するようにしましょう。特に、面会交流中にこどもを引き揚げた場合などは、刑法上の犯罪が成立するかは疑問であり、安易に警察を使い強引にこどもを取り戻すと、裁判所からは親権者としての適格性を疑われることもあるようです。当事務所では、子の監護者指定・引渡し、審判前の保全処分、人身保護請求も行ったことがあります。
母親が子を残して別居した場合、自らが親権者になることを希望するときは、時間の経過が結論を左右することから、早期に子の監護者指定と子の引渡しの審判又は調停の申立をすることが多く、深刻な争いとなります。