家族法Q&A

刑事弁護

供述の任意性と犯罪捜査規範

1 当職は、貴署において強盗致傷の嫌疑により勾留中の被疑者Xの国選弁護人です。

2 被疑者は、昨日、貴署刑事課Aより取調べを受けて、調書を3通作成しました。そのうち1通は「被疑者が犯行を決断した最大の理由は何か」についてです。

3 被疑者は、犯行を決断した最大の理由について、従前から当職に対して、大要、下記のとおり説明していました。

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4 しかるに、A氏は、被疑者に対し、再三「お金じゃないの」「確かに怖いとか脅されたとかあったかもしれないけれど、本当は実際はどうなの」「お金に困っていたからやったんじゃないの」などと、犯行動機が金目当てでやりましたという内容の供述調書に署名・押印を余儀なくされました。

5 貴職もご承知のとおり、犯罪捜査規範第166条2項は「取調べを行うに当たっては自己が期待し、又は、希望する供述するものを相手方に示唆する等の方法により、みだりに供述を誘導するもので、供述の任意性について疑念に抱かせるものです。

6 よって、当職は、A氏の上記取調べに厳重抗議をするとともに、取調べにあたっては犯罪捜査規範をはじめとする法令を遵守するよう申し入れます。

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